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書籍詳細


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豚足に憑依された腕
高次脳機能障害の治療
本田慎一郎 著
ISBN 978-4-7639-2143-7
A5判 594頁 2017年11月10日発行
定価 5,940円(税込)
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片麻痺,半側空間無視,嚥下障害,失語,失行,失調,慢性疼痛…

セラピストにとって,患者さんを治したいという思いと治療ができるということとの間には,時に大きな壁が立ちふさがります.しかし著者は,治療を諦めることはありません.試行錯誤しながら,その患者さんと共に臨床をつくりあげ,結果を出し,しかし反省点は次に生かすという形で日々臨床に臨みます.
本書はさまざまな障害の患者さんの「治療」を,一貫した治療理論に依拠して行ってきた一人のセラピストによる記録です.

著者の臨床は,脳科学を柱として認知心理学,教育学,言語学,現象学など人間を理解するための多くの学問の精華を選りすぐり障害の治療(リハビリテーション)という観点に立って構築された認知神経リハビリテーションの理論に拠っています.
そこに足場を置くことで,これまでどちらかといえばそれぞれの対応をされてきたさまざまな障害について共通の論理性をもって病態分析をし,一人一人の患者さんに対する,まさにオーダーメイドといえる治療を組み立てていきます.
リハビリテーションでは従来から詳しく行われてきた外部観察・動作分析はもちろん,主に患者さんとの対話(患者の記述)から本人の経験している世界(内部観察)の意味を推し量り理解しようとすることによって,一体なにが起きていて,なぜそうなるのかと不思議に思う理由を求め,関連知見の助けを借り,治療の糸口を見つけていくのです.

何を見て,何を聴き,どう病態を捉え,いかに治療を組み立てるか.試行錯誤の様子や転機をもたらす患者さんとのやりとり,治療仮説の検証まで,その思考(治療)過程が丁寧に記されています.
著者の思考過程,臨床の展開は謎解きのようなおもしろさがあり,患者さんの確かな変化(機能回復)がその治療の方向性の適切さを物語っています.本書の臨床風景は,これまでにない「高次脳機能障害の治療」であり,患者さんが望みうる現在であり明日でもあります.そしてこれは治療の記録であると同時に,一人一人の個性溢れる患者さんの物語でもあります。

「治療」を諦めない,共に歩むすべてのリハビリテーションセラピストに読んでいただきたい画期的な一冊です.


◉書評より◉

宮本省三(高知医療学院,理学療法士)

 神経心理学と高次脳機能障害学の礎を築いたルリアは,「神経心理学は,脳損傷のせいで対処が難しくなったり,時には困惑するほど奇妙に見える世界で歩んで行こうと奮闘している,一人ひとりの患者についてのものだ」と述べている.
 サックスはルリアに手紙を書き,励まされ,神経疾患に侵された症例が語る不思議な言葉を分析し,『左足をとりもどすまで』,『レナードの朝』,『妻を帽子とまちがえた男』などの世界的なベストセラー本を書いた.
 また,認知神経リハビリテーションを提唱したペルフェッティは,リハビリテーション医学における「科学と意識経験の融合」を強く主張している.人間は自動的に動く機械ではないし,物言わぬ生物的器官の集合体でもない.人間は意識経験を生きる.それは外部から計測機器を用いて客観的に分析できない.もっと患者の「身体の声」を聴く必要がある.臨床には一人ひとりの身体,物語,人生がある.
 したがって,生きる人間に対するリハビリテーション治療は科学的(客観的)であると同時に「ロマンチック・サイエンス(主観的な一人称言語記述の科学)」を内包したものでなければならない.
 本書からはルリア→サックス→ペルフェッティというロマンチック・サイエンスの歴史的な足跡が読み取れる.そして,その旅の延長線上に著者の本田慎一郎がいる.
 この本を読んで,私は胸を痛打された.ここには苦悩する患者たちと真剣に向き合う“セラピストの姿”がある.一人ひとりの不思議な病態に寄り添う“セラピストの魂”がある.回復を患者と共有する“セラピストの喜び”がある.つまり,ここには一人のセラピストの圧倒的な情熱と臨床力がある.
 これほどの情熱を込めて,自分自身が生きてきた臨床を書いた本を,私は知らない.患者への想い,患者との対話,詳細な病態分析,濃密な思考力,治療のアイデア,技術,効果,個人的な才能と努力などが結晶化している.その真の価値を見抜いているのは患者自身であることがわかる.その臨床現場を読者に伝えたいと心から願い,一冊の本を完成させた編集者の想いも伝わってくる.
 一方,そんな本田慎一郎の臨床とは裏腹に,現代社会において科学はまるで宗教のように信奉されている.リハビリテーションの未来が新しいロボットやartificial intelligence(AI)に託されようとしている.そうした科学の幻想に支配された臨床では,ロマンチック・サイエンスは必要ないと判断されるに決まっている.
 だが,新しい時代が始まろうとしている.もう一つ別のリハビリテーションの未来があるのだ.本書は21世紀の臨床を生きる若いセラピストたちが読むべきだ.きっと,その先に人間の笑顔がある.

「理学療法ジャーナル Vol.52 No.2 2018年2月」より

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